バイク

なぜ電動バイクが注目されているのか 電動バイクの未来を考察

電動バイク サムネイル

最近にわかに話題になっている電動バイク
環境にやさしいことで大きな注目を浴びています。

しかし、

「そもそも電動バイクって何?」
「電動バイクってどんなメリットがあるの?」
「電動バイクって特別な免許がいるの?」
「電動バイクなんて見かけないけど、電動バイクの時代はやってくるの?」

そう思っている方も多いと思います。

今回はそのような方のために

電動バイクとは何か
電動バイクのメリットやデメリット
電動バイクを販売しているメーカー
電動バイクの今後

これらを探っていきます。

そもそも電動バイクとは

電動バイクとは「ガソリンの代わりに電気で動くバイク」です。

ガソリンは不要。
電気だけで動くのが電動バイクです。

電動バイクの特徴は次の通り。

二輪免許で乗れる

免許証

電動バイクでも、普通のバイクと免許は同じ。

普通自動二輪免許や大型二輪免許で乗ることができます。

電気で動く

電動バイクは電気でモーターを回します。
エンジンやガソリンはありません

エンジンが無いと、「バイクの当然」であったことがいろいろ変わってきます。
それは‥‥

走行音が静か

エンジンが無いのでエンジン音がしません

走行音はとても静か。甲高いモーター音くらいしか聞こえません。
(プリウスなどのハイブリッド車をイメージしてもらうと分かりやすいでしょうか)

ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」の走行音はこんな感じです。

マフラーがない

電動バイクにはマフラーがありません。

そもそもガソリンを燃やさないので排気ガスも出ません。

これは、ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」のリアホイール付近の写真。
LiveWire リア見た目
マフラーが無いことが分かるかと思います。

変速がない

電動バイクには変速がありません。

変速はエンジンのために必要な機能なので、そもそもモーターで動く電動バイクには不要。
なので、基本的に電動バイクには変速はついていません。

これは、ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」の写真。

LiveWire フロント見た目

クラッチレバーがありません。

変速を疑似的に再現するような機能がついた電動バイクが発売される可能性はあります。

電動バイクのメリット

これほど世間で騒がれている電動バイク。

しかし、果たして電動バイクは何が良いのでしょうか。
そして、なぜ広まっていないのでしょうか。

その点について見ていきます。

環境にいい

電動バイク最大のメリットは、何よりもエコで環境にいいこと。

電動バイクは電気で動くのでガソリンは不要。
そのため、有害な排気ガスも出ません。

排気ガス

非常にクリーンな乗り物です。

メンテナンスが楽

電動バイクはエンジンが無いため、エンジン周りのメンテナンスをする必要はありません

エンジン周りのメンテナンスといえば、例えばこんな感じ。

  • エンジンオイルの交換
  • オイルフィルターの交換
  • スパークプラグの交換
  • キャブレター/FIのメンテナンス
  • オフシーズンのガソリン抜き

などなど。これだけあります。

エンジンメンテナンス

電動バイクでは、このようなメンテナンスは一切不要
面倒くさがりの方には電動バイクがピッタリです。

電動バイクのデメリット

これほど話題になっている電動バイク。
しかし、まだ見かけることはほとんどありません。

電動バイクのデメリットを掘り下げていきます。

走行距離が短い

ガソリンバイクと比べると、電動バイクは走行距離が短いと言われています。

その理由はバッテリー。
ガソリンバイクと同じくらいの距離を走れる電動バイクを作ろうとすると、バッテリーの値段が高くなってしまいます。

例えば、ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」は29,799ドル。
日本円だと300万円以上します。

充電に時間がかかる

電動バイクは充電に時間がかかります

ガソリンバイクに給油をすると、空っぽから満タンまでの補給はせいぜい数分くらい。
しかし電動バイクのバッテリーを充電しようとすると、満充電までに何十分、さらには何時間もかかってしまいます。

充電
スマホをイメージしていただくと分かりやすいかかもしれません。
スマホの電池が空に近い状態から満充電しようとすると、数十分以上かかるかと思います。

スマホとは比べ物にならない容量である電動バイクの電池は、充電は数十分なんてものではありません。

これではロングツーリングなぞ到底不可能。
充電時間は電動バイクに限らず、電気自動車の大きな問題です

数分でバイクや車でも充電できる「急速充電」

充電に時間がかかる問題を解決する方法はあります。
それは「急速充電」
大きな電力を与えて一気に充電する方法です。

将来的には、この急速充電で電動バイクや電気自動車でも数分で充電できるようになると言われています。

急速充電にも問題が‥‥

そんな急速充電ですが、大きな問題があります。
それは、規格が国によってバラバラ
さらには厄介なことに充電コネクタの形も国によって違います

LiveWire インレット

これがどんな影響があるかというと‥‥

「アメリカのメーカーの電動バイクがいつまで経っても日本で発売しない」
「イギリスのバイクを輸入してみたけど、充電器のコネクタの形が合わなくて充電できない」

なんてことにも。

これでは大問題です。
マトモに乗れたものではありません。

急速充電の規格は、以下の3つが争っています。
・日本の「CHAdeMO」
・中国の「GB/T」
・欧米の「CCS」
それぞれにメリットとデメリットがあり、さらには各国の政治的思惑もからみ合い、どの規格がシェアを広めていくかは見えてきていません。
最近は日本と中国の規格が合体するという話もありますが、未だに先は不透明な状態です。

「完全に安全」ではない

100年以上の歴史があるガソリンバイクに比べると、電動バイクはまだ開発が始まったばかり
熟成された技術ではありません。

つまり、2019年現在では「完全に安全」と胸を張って言えるものではありません

例えば、ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」は、充電の問題を理由に製造を一時停止したりしています。

その後すぐに原因が見つかり、製造は再開されています。

将来的には技術が熟成されて安全になると思いますが、今の時点では日常的に使っていくのは少し怖いという方もいるかもしれません。

電動バイクに乗るのに必要な免許は?

電動バイクも二輪免許で乗れます
電動バイク専用に新しく免許をとる必要はありません。

「定格出力」で乗れるバイクが変わる

電動バイクでは、排気量の代わりに「定格出力」で乗れるバイクが変わります

定格出力とは、簡単にいうと「どのくらいの力が出せるか」というもの。

定格出力も、大きいほど力強くなるのは排気量と一緒。
「デカいほど力強くて速い」と考えていればOKです。

免許と定格出力の関係は以下の通り。

  • 原付免許‥‥0.6kW以下の電動バイク
  • 原付二種(小型二輪)‥‥1kW以下の電動バイク
  • 普通二輪‥‥全ての電動バイク

普通二輪免許(中型免許)があればほとんどのバイクに乗れます。

2019年12月から電動バイクの免許区分が変わります

2019年(令和元年)12月1日から電動バイクの免許の区分が変わります。
具体的には次のようになります。

  • 原付免許‥‥0.6kW以下の電動バイク
  • 原付二種(小型二輪)‥‥1kW以下の電動バイク
  • 普通二輪‥‥20kW以下の電動バイク
  • 大型二輪‥‥全ての電動バイク
20kWを上回る定格出力を持つ電動バイクが大型二輪とみなされるようです。

電動バイクを販売しているメーカーは?

電動バイクを販売、もしくは発表しているメーカーを紹介していきます。

Honda

世界一のバイクメーカーであるホンダ

ホンダはスクーターのPCXを電動化したPCX Electricを発表しています。

PCX Electric
PCX Electricは、現在は企業や官公庁などを対象にしたリースのみに対応しています。
私たちがツーリングなどで乗れるようになるのはもう少し先のようです。

そして、PCX Electric以外にもPCX HYBRIDも販売。
バイクでは珍しいハイブリッドの電動バイクで大きな注目を浴びています。

さらにホンダは、電動バイクで生活全体を変えていこうとしているようです。
詳しくは以下の記事でまとめています。

https://bikemagazine.jp/future-bike-honda-2019/

YAMAHA

バイク以外にも幅広い事業を手掛けていることでも有名なヤマハ

そんなヤマハの電動バイクは、ビーノの電動バイク版、E-Vinoです。
ビーノの可愛らしい外観はそのままに電動化されています。

さらにヤマハは、台湾の大手電動スクーターメーカーのGogoroとの協業を発表。
今後が期待できます。

Harley Davidson

Harley Davidsonはアメリカのバイクメーカー。
あのアメリカン・クルーザーバイクで有名なハーレーダビッドソンです。

ハーレーダビッドソンも電動バイクを販売しています。
それが、2019年に発表されたLiveWire

LiveWire 見た目

LiveWireは大手バイクメーカーが初めて発売するスポーツタイプの電動バイクということで、日本・海外共に大きな話題となりました。

LiveWireについては以下の記事で詳しく解説しています。

ハーレーダビッドソン LiveWire
その名はLiveWire ハーレーダビッドソンの電動バイクを考える【Harley Davidson】ハーレーダビッドソンから発売される電動バイク「LiveWire」。そもそも電動バイクはなぜ話題になっているのか。LiveWireはどこがすごいのか。そのような疑問を探っていきます。...

KYMCO

KYMCOは台湾のバイクやスクーターを作っているメーカー。
スクーター大国の台湾では最大のバイクメーカーです。

KYMCOは電動スーパースポーツバイクのコンセプトモデル「SuperNex」を発表。

KYMCO supernal 電動バイク

ガソリンバイク顔負けの性能を発揮します。

Zero motorcycles

Zero motorcyclesはアメリカのバイクメーカー。
元NASAの技術者が立ち上げた、電動バイクを専門にしたバイクメーカーです。

日本国内ではあまり見かけませんが、海外では一番有名な電動バイクメーカーかも。

ネイキッドタイプやオフロードタイプ、アドベンチャータイプなどのスポーツバイクを作っています。

ARC

ARCはイギリスの電動バイクメーカー。
新しいバイクメーカーです。

ARCは2017年にVectorという電動バイクを発表しました。
Vectorは0−100km/h加速が3.2秒、最大走行可能距離が432kmなど、ガソリンバイク顔負けの性能。
瞬く間に有名となりました。

ちなみにこのVectorは現在予約受付中です。
未来を感じたい方には良いかも?

Terra motors

Terra motorsは日本の電動バイクメーカー。
電動バイクや電動トライクを販売しています。

日本や東南アジアを中心に活動しているベンチャー企業です。

電動バイクの時代はやってくるの?

今は、街中で電動バイクを見る機会はまずありません。
そんな電動バイクの時代は果たしてやってくるのでしょうか。

結論から言うと、遠くない将来、確実に電動バイクの時代はやってきます。

それはなぜか。
やはり、環境問題の影響が最も大きいです。

世間では環境問題が叫ばれ、社会問題になっています。
自動車の大気汚染が深刻化している中、バイクも例外ではありません。

今までも排気ガスが汚いバイクは規制対象になり、2スト車キャブ車は販売できなくなりました。
今後も排気ガスの規制はどんどん厳しくなっていき、やがてはガソリンバイクそのものが販売できなくなるかもしれません

そこでガソリンバイクに取って代わるのが電動バイクです。
電動バイクは排気ガスを一切出しません。

特に環境問題に熱心なヨーロッパ方面では、将来はガソリン車やハイブリッド車の販売を禁止すると発表している国があります。
本当に販売できなくなるかは微妙ですが、少なくともガソリン車やハイブリッド車が販売しにくくなるということは想像できます。
バイクも例外ではないでしょう。

そんな環境問題対策の切り札が電動バイクという訳です。

あのハリウッド俳優も電動バイクをプッシュ?

ハリウッド俳優のジェイソン・モモアも以下の動画で電動バイクをプッシュしています。

ジェイソン・モモアが乗っているのはハーレーダビッドソンのLiveWire。
この動画の中で、ジェイソン・モモアはこんなコメントを残しています。

「これほど速いとは思わなかった。必要以上だ。とても気に入った。
電動バイクは地球環境に良く、時代と共に歩んでいる。電動バイクはまさに未来だ。」
(意訳)

電動バイクの性能の高さに驚くと共に、地球環境への良さにも触れています。

まとめ 2019年現在は時期尚早かも。しかし、近い未来に必ず電動バイクの時代は訪れる

今のところ、電動バイクは以下のような問題を抱えています。

充電時間が長い
長い距離を走れない
まだ「安全」ではない

これでは、2019年現在ではツーリングや日常の移動用途で電動バイクを使っていくのは現実的ではありません

しかし、電動バイクの時代は必ずやってきます
早ければ数年後、遅くても10年はかからないと私は考えています。

そして電動バイクの時代になった時、ガソリンバイクはもう新車で手に入らないかもしれません。

電気自動車やハイブリッド車が発売当初は見向きもされなかったように、2019年に電動バイクを買う方は少ないでしょう。
しかし、いずれは訪れるであろう電動バイクの時代

今のうちに電動バイクに慣れておくのも良し。
ガソリンバイクに乗れるうちにエンジンの鼓動を味わっておくのも良しです。

ただ、電動バイクの時代になってもバイクの楽しさは味わっていたいものです。

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ABu
BIME MAGAZINE編集者。経験に裏付けられた確かな知識を分かりやすく伝える事を心がけている。